事例紹介
AIレコメンドによる商店街の回遊促進
大須商店街連盟様
概 要
新型コロナウイルス感染症の拡大により外出やイベントを自粛せざるを得ない中、新たな賑わいの創出を目指して、スマートフォンを活用したお客さま一人ひとりに寄り添ったレコメンドシステムを構築しました。
背景・経緯
新型コロナウイルス感染症の拡大により、経営環境が変化
大須商店街は名古屋市中区に位置し、家電店や古着店、グルメなど、約1,200もの店舗が軒を連ねる、名古屋を代表する商店街。伝統と新しさが混在する「ごった煮」と呼ばれる、名古屋有数の観光地でもあります。イベントや伝統行事などを通じて、賑わい創出の場として地域の活性化に大きく貢献してきました。しかしながら新型コロナウイルス感染症の拡大によって、来街者・観光客が減少。イベント開催の制限も余儀なくされました。そのような状況を打開すべく、スマートフォンやAIなどのデジタル技術の活用による商店街の活性化を検討していました。
課 題
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりイベントのような従来の顧客接点が持てない状況下で、多様な目的をもつお客さま一人ひとりが、自分に合った街歩きを楽しめる環境の実現が課題となっていました。またデジタル化が進む中、スマートフォン等を活用した新たなアプローチ施策が必要とされていました。
取 組
一人ひとりに寄り添う、AIを活用したレコメンドシステムを構築
好みの画像を選択する簡易な属性診断・目的選択により、ユーザーの趣味嗜好を判定し、その結果をもとに大須商店街の各店舗をレコメンド。よりスムーズで快適な街歩きができるよう、時刻や天気、位置情報を考慮したレコメンド機能も実装しました。さらに、ユーザーに商店街の魅力に触れていただけるよう、おすすめ記事等の配信も実施しました。
ユーザーの可視化によって、集客を図る店舗向け機能
自店舗の周辺にどのような属性・目的を持ったユーザーが存在するかを可視化できる店舗様向けの機能も実装。店舗向け機能では、店舗情報やクーポン、空き状況などの各種情報を、来街者の属性で絞り込んだ配信が可能です。これにより、自店舗のターゲットに合った顧客に対して、的確なタイミングでのアプローチが可能になります。このような実証実験を約3か月間にわたって実施し、最終的にはユーザー(お客様/店舗)にアンケートを行い、サービスに関する評価と機能改善を実施しました。
効果・今後の展望
レコメンドによるユーザーの行動変容を確認
サービスのログ分析結果から、レコメンドにより”店舗に電話をかける”、”店までの経路案内を立ち上げる”などの行動を起こしたユーザーの割合は約15%にのぼり、レコメンドによる行動変容が確認できました。また、ユーザーアンケート結果から、「自分に合う店が見つかってよい」「若い方や大須にあまり来たことのない方にはいいと思う」という感想、店舗アンケート結果からは「ユーザーが増え、広く使われるようになると発信した情報が集客につながってくるはず」といった期待の意見が寄せられました。
コロナ収束後も大須商店街の新しいユーザー体験として認知度を高めていけるよう、支援させていただきたいと考えています。
※1 本PoCは終了しております。
メンバー紹介
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逢坂 美和子
デザインシンカー
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福井 克法
データサイエンティスト